【ブログ】私の愛する世紀の大逆転ガールの話①
2022.5.16こんにちは。
久賀塾の久保田です。
先生をやっていると、誰にでも「涙が出るような逆転劇」の経験があるものです。
この子のことはずっと書きたかったのですが、本人の許可を取ってから…と思い今になってしまいました。
仮名をハワイちゃんとしましょう。
彼女との思い出は多すぎるので、シリーズものにしてみました。
前述した通り、書きたいのは彼女の大逆転劇についてなのですが、まず彼女が塾に初めて来たときどんな子だったかに触れないと話は進みません。
彼女はまず歴代で一番声の大きな生徒でした。
すっごいの、もう。
耳が取れるかと思うくらいデカい、特に挨拶。
「こんばんは〜〜〜!」の声量だけで彼女と明確に分かるくらいデカい。
そして、信じられないくらい素直ですっとぼけています。
ある日、私が塾で「インドカレーのテイクアウトって、ナンがアルミホイルに包まれてるからチンできなくて不便〜」と漏らしたことがあります。
翌日、彼女は満面の笑みで、自分の顔より大きい豪華な皿を持って塾にやってきました。
「せんせ〜!ママに聞いて、チンできてナンが乗るお皿持ってきました〜!」
陶器の、素敵な花がらがフチに入った、分厚い良〜いお皿。
恐れ多くてナン乗せられないよ。
「重かったでしょ、それ」
「はい!でも、チンできますよ〜!チーズナンもいけますよ〜!」
ありがたく使おうとしましたが、大きすぎて電子レンジに入りませんでした。
ハワイちゃんは「え〜!?」と叫んでいました。
彼女が「せんせ〜!」と呼ぶときは大抵面白いことが起きます。
「せんせ〜!アメリカのアイス屋さんでバイトしたいときはどうしたらいいですか〜?」
「せんせ〜!サンタさんっていますよね!?」
アメリカには行けばどうにかなるし、サンタさんはいるよ〜!と返事をしました。
彼女がいると塾がいつもすごく良い雰囲気です。
満開の花のような生徒です。
あまりに素直で心配になって、こんなことを聞いたこともあります。
「ねえ、もしハワイちゃんが一人暮らししてさ、そこに知らない人が来て『僕は神様なんです!信じてください!』って言ったらどうする?」
「え〜、すごい!って思います!神様を見たことがないので!」
最強のマインドです。
そんな彼女、英語の模試で偏差値は23でした。
でも英語は大好き。
一番の得意教科でもあります。
「すごくないですか!?23って初めて見ました〜!」
と嬉しそうな彼女、さて、どうしたもんかと正直頭を悩ませました。
彼女には明確な夢があって、それはとてもスケールの大きいもので、そのためにまず大学に行って色んなことを経験する必要がありました。
ざっくり言うと、世界平和が彼女の夢です(合ってるよね?ハワイちゃん)。
大学って、どこでも良いわけじゃないですよね。
受験はなんでもそうですが、ものすごく大切な選択です。
模試の結果を片手に、彼女と一緒に志望校を考えました。
「行きたいところ調べてみな」と告げた次の日には、大学名のリストを持ってきた彼女。
お分かりかと思いますが、素直で破天荒で、なによりすっごい頑張り屋なんです、ハワイちゃん。
大学を1つ1つ見ながら、なんでここに行きたいの?と聞くと…。
「私のこと合格させてくれそうだからです!」
いや〜困った!
困ったよ私は!
そんな志望動機はない!聞いたことない!
そこから1時間ちかくかけて、大学になぜ行くのか、どんなことをしたいのか、を一緒に考えました。
そして、「第一志望」は行きたいところを選ぶもので、大学が許してくれそうなところを選ぶものではないということを懇懇と話しました。
彼女が帰宅したあと、私と旦那の山賀で深夜まで話し合いました。
受験において一番酷な部分ですが、「どこまでなら努力で間に合うか」。
それこそ東大!と言われたら、正直に「それは無理だよ」と言うべき場面があるのが、受験生を教えるということですから。
翌日、また彼女とパソコンの前で話し合って、とうとう志望校を決めました。
偏差値で言うと45くらいの女子大学。
高校3年の夏、受験まで半年を切った段階で、偏差値を22も上げることが確定したハワイちゃんの話は、②へ続きます。